ぶんげいしゃだより

都内のどこかにある「ぶんげいしゃ珈琲店」。今日も本好きが集まって、本について話に花を咲かせます――。by 文芸社

人生は迷走の連続だ!!                底抜けに明るく前向きな24歳の女性が送る、   統合失調症と向き合う日々とは

 

編集作業に愛を注ぐネトレプコさんから気になる書籍情報が入りました !!

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「美和はアクセル全開かエンストしか知らない。ブレーキを踏むことをこれから覚えな」……この言葉の意味を、ようやく理解し始めています。

 

『統合失調症セキララ とーしつ娘は問題児?』藤木美和・著

 冒頭のセリフは、当時勤めていた介護施設の上司・中俣さんが、主人公・美和の病気を知ったうえで、言ってくれた言葉です。

24歳になった美和は、この言葉をまっすぐに受け止められるようになったわけですが、 それまでの紆余曲折に彼女の生きづらさや苦しみを見つけることができます。

そして、それが読み手側の感情や経験の断片とリンクし、浸透していくように感じるのです。

 

この作品を読んで、驚かされるのは、その底ぬけに明るい主人公の姿です。

いじめ、性被害、パニック障害、自殺未遂……。

読んでいて胸が痛くなるほどの辛い出来事が襲ってきますが、ときにこちらが心配になるほどに楽観的に、ときに考えすぎて大きく回り道をしながら、それでも前向きに人生を突き進んでいきます。

その姿からは、この作品がただ「統合失調症の人の闘病記」とだけにくくることができない、人間の「生きる底力」のようなものを感じずにはいられません。

 

真面目な話が続いてしまいましたが、作風はユーモアあふれる明るさで満ちています。

アスペルガーの彼氏ができて、互いにうまく感情が伝え合えずに悩み、交換日記で関係を修復していく話など、個人的には自分自身の恋愛にも通じるところがあって、思わず「ふむふむ」とこれまでの過去の恋愛での失敗を重ねながら読みふけってしまいました。

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統合失調症という病気について知りたい人はもちろん、人生に悩んでいる人にも読んでほしい一冊です。

書籍詳細 : 統合失調症セキララ - 文芸社