ぶんげいしゃだより

都内のどこかにある「ぶんげいしゃ珈琲店」。今日も本好きが集まって、本について話に花を咲かせます――。by 文芸社

ホンシェルジュの本棚 4

ぶんげいしゃ珈琲店のホンシェルジュ、アリス=サラ・オットです。

ホンシェルジュは、本のコンシェルジュ。

文芸社から出版された本の中から、これはと思う一冊をおすすめします。

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師匠のジョニー・ゲップが安アパートで急死した。

死に水をとったのは新弟子だった。

 

『ジョニー・ゲップを探して 幻の浅草ピン芸人』

阿野 冠・著(文芸社文庫 2017年12月刊行)

 

今回ご紹介するのは、12月に文庫化した

小学4年生から子役として活動し、『R‐1ぐらんぷり』では準々決勝まで進出した某J事務所の元アイドル、阿野 冠さん衝撃のデビュー作。

 

阿野さんはこの小説が単行本で出版された2009年当時、なんと高校生だったそうです。

 

主人公のモデルは作者自身。

周囲の理不尽な行動、めちゃくちゃな出来事の中、楽しみながら頑張る主人公、禅。

彼の一挙手一投足に若い勢いが詰まっていて、読み進めればいつの間にか応援したくなっているはず。

 

目次タイトルが第1章から終章まで、俳優「ジョニー・デップ」の映画出演作で構成されているのもまた楽しく、年齢を感じさせないアイディアに驚かされます。

 

文芸社文庫からの刊行ですが、まるで文芸社文庫NEOの様な、自由な感性で創作されたしっかり面白い作品です。

 

カバーイラストはイラストレーターのふすいさんが担当してくださいました。

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大人になると忘れがちな、青春時代ならではのスピード感や思い切りの良さが

爽快に感じられ、読後はすっきりとした気持ちになれるのではと思います。

 

 

最近なんだかもやもやするなぁ……なんて思っている方に、特におすすめです。

書籍詳細 : 【文庫】 ジョニー・ゲップを探して - 文芸社