ぶんげいしゃだより

都内のどこかにある「ぶんげいしゃ珈琲店」。今日も本好きが集まって、本について話に花を咲かせます――。by 文芸社

ホンシェルジュの本棚 5

 

ぶんげいしゃ珈琲店のホンシェルジュ、カンブルランです。

ホンシェルジュは、本のコンシェルジュ。

文芸社から出版された本の中から、これはと思う一冊をおすすめします。

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体は不自由でも 心は自由です。 

空を飛びます。

風を切って走ります。

楽しい歌を歌います。(帯より抜粋)

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 今回ご紹介するのは、『北風ぼうや おおあばれ』 さく・え  なみき のりこ

進行性難病のALSで闘病中の著者が1年かけて描いた絵本です。

 

作者 のりこさんは絵筆を握ることが出来ず、なんと頭を動かして絵を描いています。

一色ならまだしも、これだけの色を使って背景まで丁寧に仕上げるというのは

並大抵のことではありません。

 

子供たちの内面を豊かにする取り組みに長年心を傾けてきた作者。

この難病を得てもなお揺るぎなくそれを追い求める「想いの強さと努力」に、

たくさんの勇気をもらいます。

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何と言っても東西南北の風を擬人化して4兄弟とするアイデアが楽しい。

いつも互いに遠くから見守り、それぞれの持ち場で役割を果たしている。

「はるです。はるが やってきました。」という言葉のとおり、

心が温まり清々しい余韻が残ります。

ぜひ、あとがきも読んでください。

そして多くの子どもたちに届けてください。

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書籍詳細 : 北風ぼうや おおあばれ - 文芸社

 

話題の作家・山田悠介さんのヒット作品をご紹介!!

いつもCモーニングにイチゴジャムをご注文される、

甘いもの好きのムローヴァさんより、おすすめの本を教えていただきました。

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皆さん、作家の山田悠介さんをご存知ですか?

 

『リアル鬼ごっこ』(2001年 文芸社)でのデビュー以来ヒット作を連発し、

今も根強い人気がある作家さんです。

 

数ある作品の中から、今回は『メモリーを消すまで』をご紹介します。

2010年6月に単行本で上下2冊同時刊行、2014年2月に文庫化されたこの作品。

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少し前まで、ホラーのイメージが強かった山田さんですが、

この作品は“感動サスペンス”なのです!

 

犯罪防止のため、全国民の頭に埋められたメモリーチップ。

「記憶削除」を執行する組織MOCの相馬誠は

腐敗はびこる所内の権力闘争に巻き込まれていく。

 

実権を掌握しようとする黒宮の真の目的はなんなのか? 

そして争いに巻き込まれたストリートチルドレンの悲劇とは?

 

近未来日本が舞台。なんと人の記憶が操作できるんです。

そこで起こる事件と、記憶争奪戦。記憶を消すか、消されるか―――。切ないけれど感動のラストが待っています。

 

フィクションですが、本当に起こるのでは……と感じさせる設定に、ドキドキがとまりません!

長編にも関わらず、いつの間にか夢中になって、あっという間に読み終えてしまいました。

 

冬休みに山田作品をじっくり味わいたい方におすすめです♪

 

  

 

設定やタイトルが秀逸で、本選びから読み終えるまで楽しい山田作品。

 

山田悠介さんデビュー10周年を記念して出版された『山田悠介コンプリートガイド』(2011年 文芸社)の中で、映画「リアル鬼ごっこ」の監督 柴田一成さんは、このようなことを仰っています。

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山田作品の魅力は一言で言えば、等身大のエンターテインメントである。つまり若い人たちに、もし自分がこんな状況に置かれたりあんなめに遭ったら、と思わせる感情の描写がうまい。――中略―― ひらめきや思いつきで突っ走るものだけでなく、その時々の社会問題や流行を巧みに取り入れていることも見逃せない。

 そしてなにより、どうやって人を楽しませるかに主眼を置いているところがいい。僕はプロデュースであれ監督であれ、基本的にはエンターテイメント作品を作りたいと思っており、そこが山田氏と共通している。私小説的な作家性を謳ったものよりも人を飽きさせない娯楽作品を作る姿勢に共感を覚えるのだ。

(『山田悠介コンプリートガイド』2011年文芸社 192頁より抜粋)

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気になった方は、是非この機会に山田作品を手に取ってみてください。

 

今後の山田悠介さんのご活躍、応援しています!

ホンシェルジュの本棚 4

ぶんげいしゃ珈琲店のホンシェルジュ、アリス=サラ・オットです。

ホンシェルジュは、本のコンシェルジュ。

文芸社から出版された本の中から、これはと思う一冊をおすすめします。

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師匠のジョニー・ゲップが安アパートで急死した。

死に水をとったのは新弟子だった。

 

『ジョニー・ゲップを探して 幻の浅草ピン芸人』

阿野 冠・著(文芸社文庫 2017年12月刊行)

 

今回ご紹介するのは、12月に文庫化した

小学4年生から子役として活動し、『R‐1ぐらんぷり』では準々決勝まで進出した某J事務所の元アイドル、阿野 冠さん衝撃のデビュー作。

 

阿野さんはこの小説が単行本で出版された2009年当時、なんと高校生だったそうです。

 

主人公のモデルは作者自身。

周囲の理不尽な行動、めちゃくちゃな出来事の中、楽しみながら頑張る主人公、禅。

彼の一挙手一投足に若い勢いが詰まっていて、読み進めればいつの間にか応援したくなっているはず。

 

目次タイトルが第1章から終章まで、俳優「ジョニー・デップ」の映画出演作で構成されているのもまた楽しく、年齢を感じさせないアイディアに驚かされます。

 

文芸社文庫からの刊行ですが、まるで文芸社文庫NEOの様な、自由な感性で創作されたしっかり面白い作品です。

 

カバーイラストはイラストレーターのふすいさんが担当してくださいました。

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大人になると忘れがちな、青春時代ならではのスピード感や思い切りの良さが

爽快に感じられ、読後はすっきりとした気持ちになれるのではと思います。

 

 

最近なんだかもやもやするなぁ……なんて思っている方に、特におすすめです。

書籍詳細 : 【文庫】 ジョニー・ゲップを探して - 文芸社

会社社長の密室殺人事件は「真の事件」の道具にすぎない。                        新奇かつ驚愕のミステリー。

 

 アメリカンコーヒーを愛する、パヴァロッティさんから話題本の情報です。

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 暖房でぼやついた頭もキリリと覚めさせられる。

「つかまり屋」著:千野 修市

刊行2017年11月 好評発売中!

 

ー彼の副業は“逮捕される”ことー

会社社長が密室で他殺体となって発見されたことからはじまる事件。

妻、娘、息子、そして秘書……最も不審なのは?

タイトル・表紙の通り、意図した誤認逮捕を中心に進む物語です。

表と裏の謎解きに、あなたはきっと翻弄されることでしょう。

 

 「あおい書店川崎店」での展開の様子を紹介します。

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本作品は殺人事件の裏に潜む、真の事件を描く新奇なる推理小説です!

ぜひ、手にとって見てみてください。

書籍詳細 : つかまり屋 - 文芸社

心がホッとするミステリー!!

 

シナモンオーレを愛する、歌姫フレミングさんから話題本の情報です。

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寒い季節にぴったり、読みやすくて心温まる連作短編ミステリー。

『ひまわり探偵局』 と「ひわまり探偵局2」著:濱岡 稔

 待望の第2弾は全編書き下ろし作品です。

「見つけるのは心の鍵、届けるのは人の想い」

ほのぼの系の名探偵・陽向万象と、寝ぐせ頭の助手・三吉菊野が繰り広げる、

やさしくてちょっと切ない事件の謎解き。

ミステリーの醍醐味は謎解きの面白さ。そして非日常の中での人間ドラマでしょうか。

本作のカバーのイラストは、若手人気イラストレータの代表格 げみさん。

手に持つだけで不思議と癒されるイラストです。

「文教堂川口駅店」での展開の様子を紹介します。

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 2巻から読むか、1巻から読むかはあなた次第です。

書籍詳細 : 【文庫】 ひまわり探偵局 - 文芸社

書籍詳細 : 【文庫】 ひまわり探偵局2 - 文芸社

人生は迷走の連続だ!!                底抜けに明るく前向きな24歳の女性が送る、   統合失調症と向き合う日々とは

 

編集作業に愛を注ぐネトレプコさんから気になる書籍情報が入りました !!

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「美和はアクセル全開かエンストしか知らない。ブレーキを踏むことをこれから覚えな」……この言葉の意味を、ようやく理解し始めています。

 

『統合失調症セキララ とーしつ娘は問題児?』藤木美和・著

 冒頭のセリフは、当時勤めていた介護施設の上司・中俣さんが、主人公・美和の病気を知ったうえで、言ってくれた言葉です。

24歳になった美和は、この言葉をまっすぐに受け止められるようになったわけですが、 それまでの紆余曲折に彼女の生きづらさや苦しみを見つけることができます。

そして、それが読み手側の感情や経験の断片とリンクし、浸透していくように感じるのです。

 

この作品を読んで、驚かされるのは、その底ぬけに明るい主人公の姿です。

いじめ、性被害、パニック障害、自殺未遂……。

読んでいて胸が痛くなるほどの辛い出来事が襲ってきますが、ときにこちらが心配になるほどに楽観的に、ときに考えすぎて大きく回り道をしながら、それでも前向きに人生を突き進んでいきます。

その姿からは、この作品がただ「統合失調症の人の闘病記」とだけにくくることができない、人間の「生きる底力」のようなものを感じずにはいられません。

 

真面目な話が続いてしまいましたが、作風はユーモアあふれる明るさで満ちています。

アスペルガーの彼氏ができて、互いにうまく感情が伝え合えずに悩み、交換日記で関係を修復していく話など、個人的には自分自身の恋愛にも通じるところがあって、思わず「ふむふむ」とこれまでの過去の恋愛での失敗を重ねながら読みふけってしまいました。

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統合失調症という病気について知りたい人はもちろん、人生に悩んでいる人にも読んでほしい一冊です。

書籍詳細 : 統合失調症セキララ - 文芸社

ほとばしり出る 愛の強さ、そして切なさ!

一緒にココアを注文される、色黒のドミンゴさんから気になる詩集情報が入りました !!

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「私の心の中にしまっておいた言葉たち、物語たちを、解放してあげる時がきたみたい。」

詩集『レイキャビックで朝食を』作:山田浩古さん。刊行2005年1月。

白をバックに洒落たイラストが印象的なカバー。帯もクリーム系で白が浮き立つ。

イラストとタイトル文字に一体感を持たせたデザインも魅力です。

「優しさと繊細な感性」を感じるお洒落なタッチのイラストが、

本文中に散りばめられています。

強い想いが込められたワードとセンテンスの掛け合いが異次元へ誘う。

このストーリー性のあるポエムを読むと、詩の世界は無限と感じます。

…時を忘れ…夢の中…余韻…

 

「レイキャビック」は北限の国の首都名、タイトルにも意味があります。

 

少女のような純粋さ、大人しか知らない愛。

ハッと時間を止めてしまう"言葉のチカラ"。

男性なら、誰しも胸を締め付けられる瞬間を覚えるでしょう。

勿論、女性の方々も共感されるでしょう。

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ラストも衝撃ですが、冒頭をご紹介します。

     人生の地の果てで

     偶然出会ったあなたが

     忘れられない。

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棚に置いてもアートを感じるデザイン。

不思議とグランドピアノとの相性がいい!?

書籍詳細 : レイキャビックで朝食を - 文芸社